見た目の印象をつくるものは、服やメイクだけじゃない。
ふとした瞬間に感じる“香り”が、その人の空気をそっと決めてしまうことがある。
たとえばすれ違ったとき、ほんの一瞬香る柔らかな気配。
会話が終わったあとに残る、ほのかな余韻。
そんな“見えないけれど印象に残るもの”に、私はずっと惹かれてきた。
香りに主張がありすぎると、それは香りの方が先に歩いていってしまうような感じがする。
でも、そっと寄り添うように香るものは、まるでその人の内側から自然ににじみ出てきたようで。
それが“香りの余白”なんじゃないかと思う。
香りの余白をまとうということ
たとえば、ディプティックの「L’Eau(ロー)」。
ローズにクローブやシナモンが重なる、少しスパイシーでクラシカルな香り。
甘さではなく、温かさと静けさを感じる香りで、まとうと気持ちまで少し落ち着く。
強く香らせるというよりは、「自分のためにそっと香らせたい」香り。
誰かのためじゃなく、日々を丁寧に過ごすための香りという感じがして、私の中では“余白をまとう香り”の代表だ。
香りの種類で変わる、余白の表情
一方で、**同じディプティックの「Volutes(ヴォリュート)」**も好きな香り。
スモーキーで甘く、イリスのパウダリーさが重なる、少し深みのある香り。
L’Eauが“朝の静けさ”だとしたら、Volutesは“夜の読書時間”のような静けさをまとっている。
どちらも主張しすぎないけれど、香りの奥に物語を感じさせる。
それぞれ違う空気感を持ちながら、どちらも“余白をまとう”という軸は同じだ。
日常の中に、香りの余白を
香りは、特別な日だけじゃなく、何気ない日常の中にあるといい。
髪にそっと残る香り、手元にふと漂うハンドクリームの香り。
洋服に軽く吹きかけるファブリックミストも、心を整える小さな習慣になる。
それは、誰かのための香りというより、自分を大切に扱うためのもの。
忙しい日々の中にこそ、香りで“余白”をつくってあげたい。
さいごに
香りは目に見えないけれど、静かにその人らしさをつくってくれる。
「なんかあの人、雰囲気あるよね」と言われる人は、きっと見えないところにまで気を配っている。
香りでまとう“余白”は、きっとこれからの私たちの味方になってくれる。
派手さよりも静かな余韻を。
“いい香り”より、“印象に残る香り”を選んでいきたい。
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